人気ブログランキング | 話題のタグを見る

husky voice

牛について熱く語る。

パソコンをいじっていたら、
去年書いた「牛」についてただただノートに書き連ねた文章が出てきたので、
もうこの際アップしてしまうこととする。

タイトルは…そのまま「牛」。

牛について熱く語る。_e0188039_0333059.jpg


総じて「牛」とはあまりいい意味で使われることの少ない動物である。「牛みたいになっちゃうよ!」というのは、ボーっと怠けていることを戒める言葉であるし、「牛みたいだな!」と言われれば、大きくのろまなイメージを相手が抱かれていることの証である。

牛からしてみれば、誰が毎朝皆が飲む牛乳を作っていると思っているんだ、そのカフェオレに入っているものは何だ、そのパンに塗っているものはなんだ、と怒鳴りたくなる事態に違いない。そんな牛のために、私が彼らの冤罪を晴らすことにした。

牛は断じて怠け者でものろまでもない。

牛は反芻(はんすう)動物と呼ばれ、4つの胃を持っていることを皆さんはご存知だろうか。それもその胃は牛のおなかの4分の3ほどの面積を占め、一番大きな第1胃は160リットルもの容積がある。牛は口から入ってきた草などを、まず第1胃に入れ、ここで数々の微生物によって、繊維質を分解する。そして時折、一度飲み込んだ食べ物を再び□の中に戻して、もう一度細かくするために噛んでは、また胃にもどす。これが反芻という動作であり、牛が反芻動物と呼ばれる所以である。その後、第2、3胃に食べたものが移行し、さらに細かく分解され、最終的に第4胃で消化される。つまり、食べて戻して、食べて戻して、この作業を延々と繰り返すことにより、人間がうまく利用できない繊維質や質の低いタンパク質を含む草を、肉や乳に変換するのだ。

またこの牛の反芻が「食べて戻して食べて戻して」なんてのんきなかわいらしいものではない。牛はなんと1分間に40~60回ものスピードで噛み、1日のうち、反芻時間はなんと6~10時間にも及ぶのだ。牛がいつも口をもぐもぐと口を動かしているのは、何か言いたいけど言えないもどかしさの表れではない。牛は反芻作業で忙しいのだ。

さらに噛んでいる間に分泌される唾液もすごい。その量たるや1日に90~180リットル。 よだれが口の横から溢れているのもだらしなさの象徴ではない。牛は消化作業に勤しんでいるのだ。

ここまでくればもうお分かりだろう。
「牛みたいなっちゃうよ!」という言葉の使い方が誤っていたということを。
「牛みたいになっちゃうよ!」イコール「働きすぎだよ!」となっても全く問題のないくらい、牛は常に活動をしているのだ。アクティブな動物なのだ。

1日の半分くらいの時間、1秒間に1回というスピードでくちゃくちゃくちゃくちゃ…、
1時間に7リットルほどの唾液を出しながらくちゃくちゃくちゃくちゃ…。

牛はこうも忙しく、活動的な動物だと分かったのにも関わらず、私もここまで書いたのにも関わらず、なぜだろう。心から「牛みたいになりたい!」と思う気持ちが湧いてこないのは。

これはもう、私のせいではない。

牛について熱く語る。_e0188039_034551.jpg


おわり。
by azusazusa_62 | 2011-05-24 00:35 | Column